シャントってなに?

シャントってなに?

シャント(shunt)とは”短絡路”の意味で、意味からすると”近道”のような意味になります。”透析が必要ですと言われたら”で御説明したように、血液透析では血液の出入り口を作る必要があり、その最も一般的な方法がシャントになります。シャントとは、一般的には腕の血管で、心臓からの行き道である動脈と、帰り道である静脈をつなげる手術です。よく脈を診るときに手首や首の動脈を触れて”どくどく”と拍動しているのを診ます。動脈は勢いよく流れていますので、怪我をしたときに出血をするのを防ぐために、体の奥深いところを流れています。その動脈が比較的浅い場所に流れているのが、これら手首などになります。血圧はこの動脈が流れている圧のことです。静脈は帰り道になりますので、皮膚の表面で青とか緑色に見える血管です。よく採血などで使用しますが、ここからでは1分間あたり10mlぐらいしか血液を取り出すことができません。そのため動脈と静脈を手術してつなげることによって、動脈を勢いよく流れている血液が、静脈に流れ込んで血管が太くなります。これをシャントと言います。本来であれば手の先まで行って、栄養や酸素を運んで静脈でゆっくり帰ってくる血液が、シャントの部分から直接帰る形になりますので、近道ということになります。

こうした血液の出入り口(英語ではバスキュラーアクセスといいます)を作る方法としてはシャントが最も一般的で、まずこちらを作ることを検討します。しかし血管が細いなどの場合は、シャントを作ることが難しいことがありますので、その場合は人工血管(グラフト)というのを一部使用してシャントを作ることがあります。またシャントで近道をして帰ってきた血液は、栄養や酸素などを運ばずにただ行って帰ってきてしまうということになります。そのため若干に心臓に負担がかかります。心臓が弱っている場合には、深いところに流れている動脈を、表面に持ち上げて直接刺すことによって血液の出入り口とする動脈表在化という方法があります。また首や足の付け根にカテーテルという管を入れて、そこを血液の出入り口とする方法があります。下記に簡単にそれぞれの特徴をまとめます。

シャント

可能であればシャントを作るのが原則です。

メリット:もともと御自身の血管であり、流れが詰まってしまう可能性や細菌感染などのリスクが少ない。

デメリット:血管が細い方は作るのが難しい場合がある、手術をしてから血管が太くなるのに2週間程度かかる、心臓に負担がかかる場合がある。

人工血管(グラフト)

血管が細くてシャントを作るのが難しい方の場合に検討します。

メリット:血管が細くても、その部分を人工の血管でつなぐため作ることができる。

デメリット:人工の血管のため、御自身の血管と比べると詰まりやすい、感染などのリスクがある。

動脈表在化

心臓の病気があり、シャントを作るのが難しい方の場合に検討します。

メリット:血液の流れを表面に持ち上げるだけで、近道をする血液などはなく流れ自体は変わらないため、心臓に負担がかからない。

デメリット:動脈を持ち上げるため傷口が少し大きくなる、動脈から血液を取り出しますが、お返しするのは静脈のためその血管が細いと難しい。

カテーテル

こちらは短期間使用するものと、長期間使用するものがあります。短期間のものは、透析が必要な状態にも関わらずシャントの準備ができていない場合に、シャントを作って待つというのは難しいため、一時的にカテーテルを使用して透析を行い、体調が整ったところでシャントを作る形になります。長期間のものは、上に挙げたシャント、人工血管、動脈表在化といった方法が難しい場合に、感染を防ぐために肩から長いカテーテルを入れる形になります。

メリット:カテーテルを入れてすぐに使用できる、透析毎に針を刺す必要がない。

デメリット:カテーテルが直接血管に入っていますので、そこから細菌が入って感染症(敗血症)を起こしてしまう可能性がある、血栓などで使用できなくなる可能性がある。

投稿:鶴田悠木

 


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